第6回YNU日本語スピーチ大会(2016年) 

テーマ「私を変えた言葉」

スピーチ大会の発表資料・動画はこちらでご覧いただけます。

2016年12月13日(火)に横浜国立大学教育文化ホール大集会室にて第6回YNU日本語スピーチ大会が開催されました。今年度のテーマは「私を変えた言葉」で、各国からの留学生10名がそれぞれの熱い思いを聴衆に伝えました。留学生を含む本学の学生、本学教職員のほか、日ごろ留学生支援に携わるボランティアの方々にもご来場いただき、総勢114名の方にお越しいただきました。

2014年度から国際理解科目とのジョイントで開催されているスピーチ大会も今年で3回目となりました。本取り組みは日本語スピーチ大会開催に向け、日本人学生と留学生が協力しあうことで国際交流の機会を促進するというのが目的で進められています。今年度は、「国際理解:国際交流における日本語の役割」というクラスの受講生29名がその役割を受け継いでくれました。

スピーチ大会には今年度もたくさんの応募があり、初中級の部3名、中上級の部7名、合計10名の出場者が決定しました。出場者は学部生、研究生、YOKOHAMA Creative-City Studies(YCCS)プログラム生、短期留学国際プログラム(JOY)生、世宗大学校日本交流プログラム生、日本語・日本文化研修プログラム生とさまざまな身分の留学生で、出身はアメリカ、ロシア、トルコ、台湾、韓国、中国の5つの国と地域でした。また、司会はハンガリー出身のズゴル・ヴァレンティナ(日本語・日本文化研修プログラム)さんが担当し、流暢な日本語で司会進行役を務めてくれました。

中上級の部の出場者は持ち時間4分の間にスライド6枚、初中級の部は持ち時間の3分の間に4枚のスライドを見せながらそれぞれの「私を変えた言葉」について自分の経験や思いを聴衆に語りかけました。笑いあり、感動あり、学びありのスピーチで、どの発表のあとにも盛大な拍手が送られました。

スピーチの審査は内容、表現力、日本語力の三点について行われました。各スピーチは7名の審査員によって個別に審査され、その合計点をもとに各賞が選ばれました。審議中には来場者と出場者によるQ&Aセッションが行われ、出場者はリラックスした様子で来場者の方々からの質問に答えていました。

審査の結果最優秀賞が全体から1名選ばれたほか、優秀賞がそれぞれの部から選ばれました。最優秀賞受賞者には賞状と歴代の最優秀賞受賞者の名前が残されているトロフィーが、優秀賞受賞者には賞状が贈られました。また、読売新聞社からは読売新聞社賞の贈呈があり、読売新聞東京本社横浜支局長の谷口透様より賞状と盾が贈られました。その他にも「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生が選ぶ学生審査員特別賞が選出され、賞状の授与が行われました。また、優秀賞には大理石のYNUモニュメントも贈られました。

それぞれの受賞者には審査員から受賞の理由と感想が述べられ、賞状と記念品が贈呈されました。最後に出場者全員に坂本健様より奨励賞が、日本語教育部より参加賞が贈呈されました。表彰式の終了をもって第6回YNU日本語スピーチ大会は閉会となりました。

当日の様子は読売新聞にて(2016年12月14日付)紹介されました。

懇親会

スピーチ大会終了後、国際教育センター301教室にて懇親会が開催されました。スピーチ大会に出場した留学生と友人、審査員の方々、地域ボランティアの方々、「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生など約54名が集まり、歓談の機会を持ちました。スピーチ大会についてだけではなく、日本での生活のことや、自国の話に花を咲かせていたようです。留学生が普段は接することがあまりない学外の方々とも交流するいい機会になったのではないでしょうか。

「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスとの連携

「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生29名は様々な形でスピーチ大会の準備や運営の支援をしました。一番重要な役割は出場者のスピーチ原稿のチェックと発表の練習の支援でした。受講生2〜3名が1グループとなって出場者が書き上げた原稿を読み、アドバイスをするという形をとりました。初めて留学生の日本語を知ることとなった学生も多く、数多くの発見や驚きがあったようです。

スピーチ大会当日は、出場者の紹介で会場を盛り上げてくれたり、受付、タイムキーパー、写真・ビデオ撮影、審査票回収と計算、Q & Aセッションの司会など、実際の運営にも大きく関わってくれました。どの学生も積極的に準備・運営に協力をしてくれたため、スムーズな進行ができました。

「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラス 学生の声

経営学部・岩崎誉史さん
スピーチ大会出場者の日本語の発音のスムーズさと内容のレベルの高さにとても驚かされました。英語と中国語を学習しているものとして多言語でスピーチを準備して、実際にすることの難しさはよく分かります。それをあまり長いとはいえない期間に原稿をほとんど見ずに大衆の前で話せるレベルまで持って行くのは本当にすごいと思いました。

教育人間科学部・松浦葉奈さん
今年度のスピーチ大会を見て、第一に留学生はすごいパワーを持っているなと感じました。発表者のスピーチひとつひとつに心を動かされました。 サポーターとしては、担当していたマリアさんが優勝できて本当に嬉しかったですし、どこまでアドバイスしていいかわからない中でも、アドバイスをして最初の内容と比べかなり具体的なものに仕上がって、結果的に良かったなと思いました。

経営学部・竹中彩恵さん
今回、初めて国大のスピーチ大会を視聴して、私は留学生と関わることがあまりなかったので、留学生の日本語能力のレベルがとても高いと思った。また、留学生ならではの思いや経験を聞くことができて、視聴者としてとても得られることが多かった。

教育人間科学部・五十嵐さん
私にとって、今回のような経験は今までになかったのでたいへん新鮮で、有意義なものになった。まず、参加者の視点で考えると発表者である留学生のスピーチは本当に感動的なものだった。日本語がきれいであり、聞き取りづらい部分があまりなかったのに加え、内容が本当に心動かされるもので、日本語を外国語とする人たちのスピーチとは思えないものだった。また、普段ではなかなか思いつかないような意見、考えをたくさん聞くことができ、考えさせられる場面が多くあった。

ポスターデザインコンテスト

スピーチ大会の出場者募集と同時に宣伝用ポスターのポスターデザインコンテストが開催されました。留学生だけではなく、日本人学生や教職員の方々からも募集を受け付けたところ、合計4点の応募がありました。すべてのポスターは国際教育センター2階ロビーに掲示され、一般投票が行われました。一般投票と「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスでの投票、教職員による投票を合わせた結果、得票数が最も多いポスターが入賞作品となりました。

第6回YNU日本語スピーチ大会は「私を変えた言葉」というテーマのとおり、留学生たちのメッセージが確実にはっきりと伝わった大会になったと思います。留学生たちからたくさんのことを学び気づかされるとても良い機会だったのではないかと思います。 各方面からのサポートをいただき、無事開催できたことを大変喜ばしく思っております。関係者のみなさまありがとうございました。日本語スピーチ大会が本学留学生の活動の活性化につながるよう、第7回YNU日本語スピーチ大会を企画運営したいと思います。

最優秀賞
ツヅクオグル・チャグリ(YCCSプログラム生)

文責  金蘭美
(国際戦略推進機構 基盤教育部門 日本語教育部)

出場者(敬称略)

スピーチ大会の発表資料・動画はこちらでご覧いただけます。

【初中級の部】
1.ハリスン・アニ     「菜食主義」
  JOYプログラム・アメリカ
2.ツヅクオグル・チャグリ 「ラブ」
  YCCSプログラム・トルコ
3.ソン・ウンジェ     「プーさんが教えてくれた幸せ」
  教育人間科学部/世宗プログラム ・韓国
【中上級の部】
1.プロホロワ・マリア   「みんな違って、みんないい」
  国際社会科学府研究生・ロシア
2.チョ・レヒョン     「私が出会った日本」
  教育人間科学部3年・韓国
3.ナム・アラム      「できるよ」
  教育人間科学部/世宗プログラム・韓国 
4.アン・ソッキュ     「鳥かごを出たことのない鳥は飛べない」
  日韓プログラム・韓国
5.ゴ・カコウ       「忍」
  国際教育センター/横浜国立大学日本語・日本文化プログラム・台湾
6.エン・レイカ      「言葉のマジック」
  教育人間科学部研究生・中国
7.リ・ケイセン      「fake it until you make it」
  国際教育センター/横浜国立大学日本語・日本文化プログラム・台湾
【司会】
ズゴル・ヴァレンティナ(日本語・日本文化研修プログラム・ハンガリー)

審査員(敬称略)

【学外】
谷口透 (読売新聞東京本社横浜支局長)
朝熊由美子 (独立行政法人国際協力機構 横浜国際センター所長)
漆原健彦 (神奈川善意通訳者の会長)
【学内】
高橋邦年 (国際戦略推進機構、基盤教育部門長)
徐浩源 (国際戦略推進機構 教授)
竹内智子 (学務部 国際教育課長)
川崎千尋 (国際理解クラス受講生代表)

受賞者(敬称略)

【最優秀賞】プロホロワ・マリア「みんな違って、みんないい」 国際社会科学府研究生・ロシア
【読売新聞社賞】エン・レイカ「言葉のマジック」 教育人間科学部研究生
【初中級の部優秀賞】ツヅクオグル・チャグリ 「ラブ」 YCCSプログラム・トルコ
【中上級の部優秀賞】ナム・アラム「できるよ」 教育人間科学部/世宗プログラム ・ 韓国
【学生審査員特別賞】プロホロワ・マリア「みんな違って、みんないい」 国際社会科学府研究生・ロシア

受賞者の声

プロホロワ・マリア(国際社会科学府研究生・ロシア)

「私にとって、このスピーチ大会はとても大事なチャレンジでした。

色々な文章(詩やちょっとした話など)を書くのが昔から好きで、かなり自信がありました。しかし、子供のころから、「そのまま」の文章が多かったです。自分の感情や伝えたいことを紙に出して、それで終わりでした。周りの人の評価もかなり良かったので、勝手に甘えていました。でも、書いた文章は人に伝わるのか、どうすれば良くなるのかなど、あまり興味がありませんでした。人前で発表するというのも苦手だと認識していて、なるべく文章の形で残すか、紙を見て読むだけでした。

つまり、今回私にとって一番大事なポイントだったのは、書くだけではなくて、「磨く」、それから、「伝える」ということです。サポーターの皆さんに自分の用意したスピーチを読まれて、とてもドキドキしていました。自分が思っていた以上に訂正や疑問点が多くて、「ああ、やりたくない、これじゃ自分らしくなくなる」と、やる気がなくなったこともありました。しかし、そのとき、「何のために書くのか」と突然思いました。自分のためだけだと、もったいないでしょう。せっかくですから、人に伝えたいです。それなら、人がどのようにこの文章を受け止めているのか、どうすれば私の考えがより上手く伝わって人の心に染みるのか、真剣に考えなければならないのですね。人の言うことに、もっと本気で耳を傾けないとダメです。そう思って、頑張り続けました。何回も書き換えてから、やっと自分の満足できる文章、それから、最初のバージョンよりずっと説得力のある文章が出来上がりました。(一緒に苦労してくれたサポーターさん達に、とても感謝します。)

これくらい悩んできた文章はもう放っておく訳にもいけないので、暗記、パワーポイント、読み方の工夫など、今までになかったほど全力で頑張りました。文章を磨くときに、この文章が更に可愛くなって、伝えるために頑張ろう!という気持ちになれました。もちろん、改善できる点もたくさんありましたが、本当に自分の納得いくちゃんとした発表は、初めてでした。受賞ももちろん嬉しくてたまらなかったのですが、その達成感の方が心に残りました。とてもとても大切な体験です。

この未熟な私の成長を見守って手伝ってくださった皆様、本当にありがとうございました。これからも周りの声にちゃんと耳を向けて、「伝わる」文章や発表を目指そうと思います。

そして、参加するかどうか迷っている留学生がいらっしゃいましたら、絶対に参加してみた方がいいと思います。「みんな違ってみんないい」ですから、私とは違うことになると思いますが、必ず何か成長できることがあります。今まで知らなかった人と今まで知らなかった自分との大事な出会いもたくさん待っていますよ。」

ナム・アラム(中上級の部優秀賞・教育人間科学部/世宗プログラム ・ 韓国)

 受賞をしてどう思ったか。単刀直入に言うともちろん!嬉しかったです。やはり「賞」というものは「上手でしたよ、アラムさんのスピーチは印象的でしたよ。」と間接的に言ってくれる気がするので、もらわないよりはさすがにやり甲斐ももっとあったし認めてもらえたなって感じるようになりました。
 でも実は私は全然賞のことはべつに、スピーチを皆の前で、しかも母国語ではない外国語でしたことに意義を持っているしそれ自体が自慢できることだと思っています。自分がすごく頑張って勉強してきた外国語でスピーチ大会に出て演説する自体が本当に素晴らしくて素敵なことで、とても誇りに思えることだと思いますから。
 賞のことは忘れてただ自分が今まで勉強してきた日本語をどうか表現してみたい!言語的に達成感のあることをしてみたい!日本の留学生として学術的にやり甲斐のあることをしたい!と思っていたらぜひこのスピーチ大会に出ることをオススメします:) !!

第6回YNU日本語スピーチ大会写真

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