YNU日本語スピーチ大会2014

テーマ「私の挑戦」

 2014年12月16日(火)横浜国立大学教育文化ホール大集会室にて第4回YNU日本語スピーチ大会が開催されました。今年度のテーマは「わたしの挑戦」で、各国からの留学生8名がそれぞれの熱い思いを聴衆に伝えました。当日はあいにくの天気にもかかわらず、留学生を含む本学の学生、本学教職員のほか、日ごろ留学生支援に携わるボランティアの方々にもご来場いただき、総勢111名の方にお越しいただきました。

 第1回から第3回までのYNU日本語スピーチ大会は例年10月に開催される横浜国立大学ホームカミングデーのイベントの一つとして行われていましたが、今年は新たな試みとして12月の授業開講日に開催されることになりました。これは、国際理解科目の「留学生支援入門」という授業とのジョイントという形でスピーチ大会を企画したためです。日本語スピーチ大会開催に向け、日本人学生と留学生が協力しあうことで国際交流の機会を促進するというのが目的でした。そのため、スピーチ大会本番もこの留学生支援入門の授業時間に合わせ、火曜日4限に設定しました。

 開催時期を10月から12月に変更した結果、10月に来日した学生にもスピーチ大会出場の機会が与えられることとなり、たくさんの応募がありました。書類選考を行い、初中級の部3名、中上級の部5名、合計8名の出場者が決定しました。出場者は短期留学国際プログラム(JOYプログラム)生、世宗プログラム生、学部生、大学院生とさまざまな身分の留学生で、出身国はエジプト、スペイン、ナイジェリア、韓国、オーストラリアの5カ国でした。また、司会はYokohama Creative-City Studies (YCCS)プログラム生のシン・シンさんが担当し、流暢な日本語で司会進行役を務めてくれました。

 出場者は持ち時間の3分の間に4枚のスライドを見せながらそれぞれの「挑戦」について自分の経験や思いを聴衆に語りかけました。笑いあり、感動あり、学びありのスピーチで、どの発表のあとにも盛大な拍手が送られました。

 スピーチの審査は内容、表現力、日本語力の三点について行われました。各スピーチは7名の審査員によって個別に審査され、その合計点をもとに各賞が選ばれました。審議中には来場者と出場者によるQ&Aセッションが行われ、出場者はリラックスした様子で来場者の方々からの質問に答えていました。

 審査の結果最優秀賞が全体から1名選ばれたほか、優秀賞がそれぞれの部から選ばれました。最優秀賞受賞者には賞状と歴代の最優秀賞受賞者の名前が残されているトロフィーが、優秀賞受賞者には賞状が贈られました。また、読売新聞社からは読売新聞社賞の贈呈があり、読売新聞東京本社横浜支局長の栗田倫孝様より賞状と盾が贈られました。その他にも留学生支援入門受講生が選ぶサポーターズ賞が選出され、賞状の授与が行われました。最優秀賞、優秀賞、サポーターズ賞受賞者には大理石でできたYNUモニュメントのミニチュア版も贈られました。

 それぞれの受賞者には審査員から受賞の理由と感想が述べられ、賞状と記念品が贈呈されました。最後に出場者全員に審査員の坂本健様より一人ずつに奨励賞が、日本語教育部より参加賞が贈呈されました。表彰式の終了をもって第4回YNU日本語スピーチ大会は閉会となりました。

 当日の様子は読売新聞にて(2014年12月17日付)紹介されました。

懇親会

 スピーチ大会終了後、国際教育センター106教室にて懇親会が開催されました。スピーチ大会に出場した全学生と友人、審査員の方々、地域ボランティアの方々など約40名が集まり、歓談の機会を持ちました。スピーチ大会についてだけではなく、日本での生活のことや、自国の話に花を咲かせていたようです。留学生が普段は接することがあまりない学外の方々とも交流するいい機会になったのではないでしょうか。

留学生支援入門クラスとの提携

 留学生支援入門の受講生38名は様々な形でスピーチ大会の準備や運営の支援をしました。一番重要な役割は出場者のスピーチ原稿のチェックと発表の練習の支援でした。留学生支援入門の受講生4〜5名が1グループとなって出場者が書き上げた原稿を読み、アドバイスをするという形をとりました。どうすれば留学生にとって学びの機会を提供できるか授業でディスカッションをし、その後各グループが実践活動をするという流れでした。留学生の日本語をただ推敲するのではなく、聴衆に何を訴えたいのか、なぜこの語彙や表現を使いたいのかという意図を聞きだしながら推敲を重ねたという報告が多く聞かれました。初めて留学生の日本語を知ることとなった学生も多く、数多くの発見や驚きがあったようです。原稿が出来上がったあとはスピーチ大会直前まで出場者の発表練習に同席しアドバイスをするという支援を行っていました。中には発表の際の身振り手振りをどうしたらいいかなど細かいところまで話し合ったグループもあったようです。

 スピーチ大会当日は、受付、タイムキーパー、写真・ビデオ撮影、審査票回収と計算、Q & Aセッションの司会など、実際の運営にも大きく関わってくれました。1年生の履修者が多かったのですが、どの学生も積極的に準備・運営に協力をしてくれたため、スムーズな進行ができました。受講生の感想はこちらからお読みいただけます。

ポスターデザインコンテスト

 スピーチ大会の出場者募集と同時に宣伝用ポスターのポスターデザインコンテストが開催されました。留学生だけではなく、日本人学生や教職員の方々からも募集を受け付けたところ、合計10点の応募がありました。すべてのポスターは国際教育センター2階ロビーに掲示され、一般投票が行われました。一般投票と留学生支援入門クラスでの投票、日本語教育部教員による投票を合わせた結果2つのポスターが入賞作品となりました。

最優秀賞
シーツー・シュエフア(ユキ)さん(JOYプログラム 留学生)

優秀賞
戸叶朋子さん (社会科学系 法科大学院係 事務職員)

 第4回YNU日本語スピーチ大会は平日に単独のイベントとして開催するということ、また日本人学生のサポートを取り入れるという新たな試みの実施で実行委員にとっても一つの「挑戦」となりました。各方面からのサポートをいただき、無事開催できたことを大変喜ばしく思っております。関係者のみなさまありがとうございました。日本語スピーチ大会が本学留学生の活動の活性化につながるよう、第5回YNU日本語スピーチ大会を企画運営したいと思います。

文責 半沢千絵美 (国際戦略推進機構 基盤教育部門 日本語教育部)

出場者(敬称略)

【初中級の部】
1.ハディール・ファテヒ・アブデルメゲド 「日本語の勉強に挑戦」
  教育人間科学部/JOYプログラム・エジプト
2.ルーベン・クロス・ロペス   「日本の外国語教育と私の挑戦」
  教育人間科学部/JOYプログラム・スペイン
3.エフオビ・オケチュクゥ         「日本語で話したい」
  工学府大学院生・ナイジェリア

【中上級の部】
1.キャサリン・ゾウ    「挑戦はゲーム!」
  教育人間科学部/JOYプログラム ・ オーストラリア
2.ガク・ジェハン     「挑戦が残したもの」
  経済学部2年・韓国 
3.イ・セミ     「父と仲良くなる」
  教育人間科学部/世宗プログラム・韓国 
4.シーツー・シュエフア(ユキ)「オーストラリアでの日本語教育」
  教育人間科学部/JOYプログラム ・ オーストラリア
5.ノ・ヒョウン        「私の人生のターニングポイント」
  教育人間科学部/世宗プログラム・韓国
【司会】
  シン・シン(YCCSプログラム1年・中国)

審査員(敬称略)

【学外】
栗田倫孝 (読売新聞東京本社横浜支局長)
小幡俊弘所長 (独立行政法人国際協力機構 横浜国際センター所長)
坂本健 (三井ボランティアネットワーク事業団・1960年本学経済学部卒)

【学内】
溝口周二 (本学理事・副学長・国際教育センター長)
高橋邦年 (国際戦略推進機構基盤教育部門長)
金蘭美 (日本語教育部非常勤講師)
倉冨陵 (留学生支援入門クラス学生代表)

受賞者(敬称略)

【最優秀賞】ガク・ジェハン「挑戦が残したもの」
【読売新聞社賞】ハディール・ファテヒ・アブデルメゲド「日本語の勉強に挑戦」
【初中級の部優秀賞】エフオビ・オケチュクゥ 「日本語で話したい」
【中上級の部優秀賞】シーツー・シュエフア(ユキ)「オーストラリアでの日本語教育」
【サポーターズ賞】ノ・ヒョウン「私の人生のターニングポイント」

受賞者の声

ガク・ジェハンさん(最優秀賞・経済学部2年 韓国)

 今回のスピーチコンテストは、私の知らなかった自分を見つけられた貴重な時間でした。皆の前で自分のことを話し、自分をアピールするのが、これだけワクワクすることだとは知りませんでした。こんなにいい機会を与えてくれた皆さんに感謝しています。これからは、このコンテストで気付いたことをもとに、より自分に自信を持って生きられると思います。改めまして、ありがとうございました。

ハディール・ファテヒ・アブデルメゲドさん(読売新聞社賞・JOYプログラム エジプト)

 本当に面白かったです。素敵な時間を過ごしました。私はスピーチコンテストの前にドキドキして緊張してしまいましたが、スピーチをした後、安心しました。賞をもらえたときに幸せでした。みなさん本当にどうもありがとうございました!!

留学生支援入門受講生の声

鎌倉賢吾さん(経営学部)

スピーチ大会への原稿やスピーチの仕方の準備を一緒に行った身としては、一人一人のスピーチの背景にある努力が垣間見えほんとに感動しました。この講義を受講し、留学生の支援を行えたことをとても誇りに思います。

日浦夏実さん(経営学部)

今回のスピーチ大会で自分がいかに日本や日本語のことを知らないか実感した。というより、自分は海外からきた人たちが日本のどのような点に魅力を感じ、どのようなことに疑問をもつのか、全く分かろうとしていなかった。これからは外国人から見た日本というものも意識しながら、大学生活を送りたいと思う。そしてこの授業をきっかけに留学生の友人が増えたので、これからも交流を続けたいと思う。

細川千尋さん(経営学部)

スピーチ内容も楽しく、ユーモアに溢れているものが多く、とても楽しかったです。皆、応援したくなるようなスピーチで、今までで一番心が温まったスピーチ大会でした。

S. U. さん(教育人間科学部)

それぞれの留学生が試行錯誤してきた課程が分かっている分、本番の発表を見た時はよくここまでのスピーチを完成させたなとすごく嬉しかったです。どの方も個性があって、必ずしも正確で上手な日本語ではありませんでしたが、聴衆を惹きつけるスピーチばかりでした

M. T. さん(理工学部)

参加者のスピーチを聞いて思ったことは、留学生の日本語の勉強に対する熱意や意欲に圧倒されました。今回のスピーチのテーマは「私の挑戦」で、参加者はそれぞれ自分自身の挑戦について話していたけれど、日本語に対する挑戦する姿勢については、全員が本当に素晴らしいなと思いました

A. M. さん(経営学部)

スピーカーである留学生と交流を持てたこと、喜びをスピーカーと共有できたことは、この授業を受けていたからなので、この授業を取れて良かったと思いました。

司会担当のシン・シン(秦臻)さんの感想

12月16日に行われた日本語スピーチ大会に司会役として参加させていただきました。自己紹介から噛んでしまい、司会中は脳内で「やばい」をリピートしていました。ですが、発表者8人の方々の姿を見て、非常に勇気付けられました。

自分は単にラッキーで日本語を話せるというだけであり、取り柄もそれしかないのですが、当日のスピーチを聞き、留学生の方々はゼロから日本語を学んでいるだけでなく、心の底から日本語を勉強している、本当に身に付けたいというのをガチで感じました(笑)。「ゼミで最初から最後まで日本語で話せるようになりたい」「将来は日本で先生になりたい」など、自分も頑張らなければいけないと真に感じました。スピーチを聞いて、私も日本語力を磨くと同時に、英語力を高めなくてはならないと思いました。これからは雨にも風にも大量の宿題にも負けず(笑)に、日本語の勉強もですが、英語の勉強も頑張っていこうと思います‼︎

話は遠くなってしまいましたが、当日は誠に有難うございました‼︎みなさんか輝いていました‼︎素晴らしかったです!!自分にとっても、掛け替えのない経験となったので、本当に嬉しいです‼︎これからも皆さん一緒に頑張っていきましょう♡

第4回YNU日本語スピーチ大会写真

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